ポップな絵柄で世界規模のレースを描く「ツール!」
自転車ブームが始まった2008年頃から急激に自転車をテーマにした作品が増えましたが、その中の佳作の一つが「ツール!」です。
「ツール!」は大谷アキラ作、栗村修監修の本格自転車レースマンガで、週刊少年サンデーで2009年~2010年まで連載したのちクラブサンデーに雑誌を変えて2010年~2011年まで連載されました。
連載雑誌がサンデーということもあってか非常に絵柄がポップで展開も早く、今どきの自転車マンガという印象が強い作品でした。
「シャカリキ」や「弱虫ペダル」などはどこか泥臭いスポ根な印象が強いマンガなのに対して、主人公の正確がいかにも今どきの高校生でしかも天才肌であるというところが大きな特徴になっています。
ストーリーは、7年前に事故死をしてしまった父親の悲願であったツール・ド・フランスでの優勝を目標に17歳の高校生日出島ヒイロが友人たちとともに奮闘していくというふうに進んでいきます。
主人公ヒイロは風を読むことができるという才能があると同時に、父親の事故がトラウマになって下り坂が苦手であるという弱点もあり、それをどのように克服しながらレースで勝っていくかというところが一番の見どころです。
監修している栗村修は宇都宮ブリッツェンというチームの監督をしている人で、自転車レースを見る時のポイントをかなり詳しく解説してくれているというのもポイントになっています。
大人の青春自転車エンタ「のりりん」
青年向けコミックとして自転車をテーマにしているのが「のりりん」という作品です。
こちらは鬼頭莫宏によりイブニングで2010年~2015年まで連載されました。
鬼頭莫宏といえば「なるたる」や「ぼくらの」といった作品で有名ですが、こちらの「のりりん」も全11巻が刊行された人気作品となっています。
主人公は丸子一典という28歳の会社員で、ある日趣味のドライブをしていたところタイムトライアルバイクに乗っていた女子高生織田輪を轢きかけてしまいます。
ちなみに主人公一典の愛称が「ノリ」、ヒロインが「りん」であるというのがタイトルです。
もともと自動車が趣味で改造などをしていたのですが、織田輪と出会うことにより少しずつ自転車の世界に引き込まれていくことになります。
主人公とヒロインが少しずつ仲良くなりながら、自転車嫌いだった主人公がレースで活躍するようになる様子を人物描写を鮮やかに描いています。
競輪を舞台にしたマンガ「オッズ」
ロードレースではなく競輪を舞台にしたマンガが「Odds(オッズ)」です。
作者は石渡治で、2006年から連載が始まりその後何度か掲載誌を変えながら現在も連載が継続しています。
もともとロードレーサーだった主人公がお金を稼ぐために競輪の世界に入っていくという青春物語です。